ろうの高校生への遠隔情報支援
授業や部活で先生の音声をICTで文字にする!




                                                              遠隔パソコン文字通訳システム
 

パソコンを使った情報支援   

話者(教員)の音声を情報保障者(文字通訳者や要約筆記者)がパソコンに打ち込み文字にすることです。
日本各地の大学や講演会などで、手話通訳、ノートテイクに加えてパソコンを使った文字通訳や要約が採用
されはじめています。
従来の手書きによるノートテイクに比べて、提供できる情報量が多く、利用者のニーズに応じて話しことばの
大半を文字化することができるのが主な特徴です。
ただし、パソコンは電源や機器の準備が必要で、図やグラフなどを表すことはできません。手書きのノートテ
イクは、紙とペンがあればどこでも誰でも行うことができるという利点もあります。

 

パソコンの入力方法と特徴

PC1人入力

話し言葉の4~5割の情報量を打ち込むことができる。読みやすさに配慮した要約提示。PC操作の技術が
必要。長時間の場合は交代で行う。

 

PC2人入力

話しことばの8割以上の情報量を確保できる。「ケバ(えー、など無機能語)を除くことで」、ほぼ全文の情報
量が提示可能。PC操作と連携入力の技術、2名以上の人員確保が必要。

 


モバイル型遠隔情報保障システムとは
  
 

筑波技術大学・障害者高等教育研究支援センターを中心に研究・実施されたシステム(※1)。
教室で授業を行う先生の音声をスマートフォンでのインターネットを利用して別の場所の情報保障者に送り、
情報保障者がパソコンに打ち込んだ文字を専用のHPにアップするシステムです。教室にいるろう生徒は各
自の端末で専用HPにアクセスし文字情報を見ることが
できます。(下図参照)
一部の大学では既に導入されており、東日本大震災の後に被災地の大学の講義を関東や関西の大学で学
生ボランティアがパソコンに打ち込み、被災地で学ぶ大学生の
情報保障を支援しました。これは、IPtalkや
ITBC2を使用したものです。

現在、BBEDが筑波技術大学の協力で実施・研究している高校生への情報支援は、これとは異なるソフトの
『T-TAC Captio
n』を利用しています。『T-TAC Caption』は、筑波技術大学の研究・開発の一環として同大学
の三好准教授が開発して
おり、その試験運用は同大学の筑波テクニカルアシスタントセンター(T-TAC)がサ
ポートしています


遠隔パソコン文字通訳の説明を動画で見る

※1 『モバイル型遠隔情報保障システム』は、 国立大学法人 筑波技術大学、 ソフトバンクモバイル株式会
社、 NPO法人 長野サマライズ・センター、 国立大学法人 群馬大学、 国立大学法
人 東京大学先端科学技
術研究センターおよび MCC HubneTの共同研究グループで2009年度か
ら開発・実証実験を行ってきたシ
ステム。


『T-TAC Caption』の特徴

情報保障者はタイピンクと連係入力の練習を積むことで、各自の自宅やオフィスなどネット環境が整っている
場所であればどこからでも情報支援ができます。特別にITCに詳しい必要はありません。利用者(高校生)も
事前にインストールしたアプリを起動するだけで情報保障者とつながることができるので、教室で準備に手間
取ることはありません。
更に、電話回線ではなくインターネットを利用しているため帯域
が広いので音質が良く、必要に応じて映像を
送ることも可能です。現段階では、高校の授業や部活動での様々な条件に対し最も適したソフトといえます。


 

「ろうの高校生への遠隔情報支援」のイメージ図